京都マラソンのコースは過去記事で紹介した。
で、実際にワタクシ天パがぶっつけ本番でアップダウンの多い京都マラソン2023のコースを走ってどうだったのか?を書きたい。
過去に11回のフルマラソンと、3回のウルトラマラソンを走った。
基本的には今までは、それなりに走り込んで当日を迎えるから、『人事を尽くして天命を待つ』的なあれ。
頑張ってきたから何とかなるやろ!
って感じで、スタート地点では『ある程度の自信』を持って『心地良い緊張感と高揚感』で号砲を待ててた。
だが、今回は全く違う!
積み上げて来たものがゼロ。
『ある程度の自信』も、『心地良い緊張感と高揚感』も、全くない!
あるのは不安のみ!
果たして自分は完走できるのか?
完走できるとしてタイムは?
雨が降り続く西京極で、心の整理ができないままのワタクシ天パには無常のスタート号砲が鳴り響く。
パーン…
全く練習せず、ぶっつけ本番で3年振りのフルマラソンを完走出来るのか?
また、ぶっつけ本番でフルマラソンを走って故障をしないのか?を徹底解説。
スタート~10km
タイム狙いではなく完走が目標の今大会。
ざっくり㌔7:00くらいをイメージしていた。
京都マラソンはスタートからしばらくは道幅が広いとは言え、転倒などを防ぐためには周りのランナーさんと同じ程度のペースで走るのが安全策。
流れに身を任せ、走り出した。
あれ?思ったより走れそうかも?
あっという間に最初の1km。
ピピピピッ
ラップ① ペース ㌔6:13
ええええ!ウソ!早すぎ!
ベストタイムは3時間31分(㌔5:00ペース)のワタクシ天パだが、現状はただの運動不足おっさん。
㌔6:13は4時間22分で走り切れるペースにつき、慌ててペースを落とす。
しかし!
3年振りのフルマラソン。
3年振りの沿道の応援。
不安しかなかったスタート前だったが、いざ走り出してみたら心地良い高揚感。
落としたつもりのペースが気付かない内にまた上がる。
ピピピピッ
ラップ② ペース ㌔6:06
いや、だから!早すぎ!
こんな事を繰り返しながら、ペースを落としきれないまま、9kmを突破。
急激な上り坂の登場。
まだまだ脚と心肺機能を温存しておきたい前半戦。
この坂は㌔7:30くらいまで落として走ろうと思ってた。
ゆっくり!ゆっくり!
㌔7:30!㌔7:30!
言い聞かせながら走る。
ピピピピッ
ラップ⑩ ペース ㌔6:24
また早すぎる!
こんなペースでゴールまでもつ訳がないと分っていながらも終始ハイペースで走ってしまい、高揚感からか?気付かぬままガリガリと脚を削られていった最初の10kmである。
※⑤のラップは混み合う最初の給水所
10km~20km
10kmを突破した辺りで心境の変化が。
俺、今日調子いいかも?
3年間ほぼ走ってないとは言え、ベストタイムは3:31のワタクシ天パ。
過去走ってた貯金で、もしかしてサブ4.5(4時間半)くらい行けるのでは?
ガーミンで心拍数を確認する。
心拍数165bpm
前半としては少し高めか?
サブ4.5!
行ける…のか??
迷いながら走ってた10km過ぎ。
左手に仁和寺が見えてきた。
お坊さんが総出で応援してくれている。
単純なワタクシ天パはお坊さんに応援されて腹は決まった!目標はサブ4.5!
サブ4.5のペースは?
確か㌔6:20くらいだったような?(正確には㌔6:23)
うろ覚えながらペース設定は決まった。
ここまでの10kmで少し貯金が出来ている。
この貯金は後半で消費するのは間違いないので、行ける所まで㌔6:20で走る事に。
ピピピピッ
ラップ⑪ ペース ㌔6:17
よしよし。
やっとほぼ目標ペースで1kmで走れた。
少し脚が重くなりだしたし、上り基調で息も弾みだした。
とは言え、ぶっつけ本番のフルマラソン。
想定よりも走れてる。
13km辺りで立命館大学のチアリーダーに元気をもらってテンションアップ。
しかし、ここでハッと気づいた。
全ての給水所で給水してきたけど、10kmで摂る予定だったジェルを摂り忘れてる。
あかん!
これではハンガーノックなるわ!
ハンガーノック(英語: Hitting the wall、オランダ語: Hongerklop)は、激しく長時間に渡るスポーツの最中、極度の低血糖状態に陥ること。
Wikipedia
10km、20km、30kmで食べるように、3個のジェルをポケットに入れて走ってた。
慌てて15km過ぎに1個目のジェルを摂った。
(後半は考える余裕がなくなり、結局この1個しか摂れなかった)
ひたすら上り基調の前半コースを19kmくらい走って、西賀茂橋を渡ったら待ちに待った下り基調。
しかも、京都産業大学卒のワタクシ天パ。
この辺りは大学時代を過ごした懐かしの地。
テンションアップして何とか20kmの計測マットを突破。
ん?
何か両膝の内側が痛いような…?
20km~30km
確実に脚の疲労は溜まってる。
呼吸もハーハーしだしてる。
走ってるペースは全然違うけど、過去のタイム狙いレースの感覚で言うと35km過ぎくらいの疲労度。
しかも、膝に痛みが発生。
当然である。
ぶっつけ本番な上に想定よりもかなり早いペースで20km。
マラソンは甘くないな…
仕事に支障をきたすような痛みになったら迷わずDNF(棄権)。
でも、そうでないなら行ける所まで行く!
決意したところでハーフ地点を突破。
ハーフ地点の平均ペース ㌔6:14
㌔6:14って事は㌔6秒の貯金?
既に疲労して働かない頭をフル回転して考える。
って事は、ここからは㌔6:26で目標のサブ4.5を達成出来る計算。
ハーハー…
㌔6:26なら何とかなる気がする!
ハーハー
短かった下り基調はすぐに終わってしまったものの、フラットで道幅が広い北山通を長く走り、27kmくらいまで走ると京都府立植物園内のコースへ。
この植物園内はとにかく走りにくい。
狭く、グネグネカーブが多く、そして何より地面が固い!
何とか目標ペース内で走りきれたけど、疲労度と膝の痛みは一気に倍増。
ヤバい!
この後すぐに、一番の難関『河川敷』が待っている。
河川敷までは脚を温存して余力を残しておきたかったのに、既に余力はほぼゼロ。
ハーハーと脚の重みと膝の痛みに耐えながら河川敷に突入。
唯一の救いは少しの貯金を残したまま30km手前の河川敷まで到達できた事か?
30km~ゴール
未舗装である河川敷コース、雨の日の走りにくさは前回大会(2020年)で経験済み。
ベチョベチョの土が前を走った数千人のランナーさんによってデコボコに。
おニューのランニングシューズもドロドロに汚れてテンションもだだ下がり。
今年も雨が降り続いており、前回同様のコンディションであることは想像できる。
観光ランの方には鴨川を走れる珍しい経験で楽しく走れるかもしれないけれど、京都市民のワタクシ天パにとって鴨川は余りにも日常風景。
遂に来てしもた!
雨の河川敷いややー!
と思いながら河川敷に突入。
すると…
ん?
あれ?
河川敷が舗装されてる!
マジか!
やるやん、京都!
ってテンション上がったのも束の間、この舗装、またしても地面が固い!
アスファルトとは明らかにダメージが違う。
1歩1歩、疲れた脚と痛い膝を確実に追い込んで行く。
しかも、道幅の狭さは相変わらずで、とにかく走りにくい。
速いランナーさんなら大して混み合わないのだろうけど、ここはサブ4.5ペースの超ボリュームゾーン。
ランナーさんが多い上に、固い地面で脚が限界を迎えたランナーさんが続々と歩き出す。
目の前を走ってたランナーさんが急に歩き出したり、歩き出したランナーさんを狭さゆえに追い抜けなかったりと、とにかくストレスがたまる!
ゼーゼー…
3kmほどの河川敷をやっとの思いでクリア。
この固い地面の河川敷で、いよいよ膝の痛みはMAXに。
両膝の内側。
鵞足炎かな?
膝の外側が痛い時は腸脛靭帯炎、内側が痛い時は鵞足炎。
ランナーに多い故障はこの2つのイメージ。
いよいよDNF(棄権)も頭をよぎりだす。
仕事に支障をきたすならDNF(棄権)とは決めているものの、棄権したら手荷物がある平安神宮までどうやって行く?
公共交通機関?
否!
ここまで32kmくらい雨に打たれて全身ビショビショ。
恥ずかしいし、汗臭そうやし、何より風邪ひきそう。
そもそも運賃は?
スマホはあるから何とかなるか?
棄権したランナー用の回収バスとかあったっけ?
過去にDNFを想定した事が無かったから何も分からない。
うだうだ考えてたら35kmくらいになってた。
残り約7km。
何パターンかあるマイルーティンランニングコースのうち一番短い、楽をしたいけど少し走っておきたい時に選択するコースが7km。
あと7km!
いつものあのコースと同じ距離。
行ってまえ!
35km地点の平均ペース ㌔6:15
ゼーゼー…
疲れ切った頭で再計算する。
貯金は㌔5秒。
㌔5秒×35km=175秒の貯金。
175秒の貯金ってことは残り7kmは㌔6:40でもサブ4.5達成。
しかし、もはや疲れすぎて計算が合ってる自信がないから、今走れる最速で走る。
脚は重いけど、膝の痛みの方が勝ってきている。
着地の衝撃に耐えられていない感じの痛み。
そして遂にラスボス突入!
京都大学を右折して心臓ヤブリの登り坂の38km地点へ。
ゼ…ゼー
ングゼ…ゼー
前のランナーさんが振り返るくらいに呼吸を乱しながら、膝の痛みに耐えて何とか歩かず走る。
河川敷同様、力尽きて歩き出すランナーさんが行く手を阻む。
一人一人、何とかかわしながら急坂を登り…
遂に!
山頂(?)の39.5km地点へ到達!
よっしゃー!
後はゴールまでずっと下り。
ゴールまで後少し。
ラストスパート!
下り坂に自然とペースも上がる。
㌔6:30
㌔6:00
㌔5:30
…
……
ってなる訳はなく、実際は全くペースは上がらず、下りで体重がモロに膝にかかるからむしろペースは落ちる。
ピピピピッ
ラップ㊵ ペース ㌔6:48
下りの40のラップでこの日一番遅いラップタイムを叩き出す。
40kmの計測マット横の大時計でグロスタイムでのサブ4.5が無理なのは理解している。
ネットタイムではどうなのか?
もはやスタートロスや今のペースからネットタイムを計算する余裕はない。
痛みに耐えながら脚を前に出すだけ。
オールスポーツのカメラマンに愛想を振りまく余裕もない。
平安神宮が見えてきた。
左手に平安神宮を見ながら最後の右折をすると待望のゴールゲートと大鳥居。
そして…
ゴール。
何とか完走できた。
4:29:01
ネットタイムでギリギリのサブ4.5達成。
そして、それと引き換えにワタクシ天パの膝は(軽微な)半月板損傷。
京都マラソンから二か月半経った今も、まだラン復帰を出来ていない。
まとめ
ぶっつけ本番でフルマラソンを走るならこれは実践したほうがいいだろう↓
- 故障となりうる痛みが出たら迷わずDNF(棄権)
- 棄権した時の為に回収バスの場所と時間を調べておく
- 歩きを入れるのを戸惑わない
- 小銭か、キャッシュレス決済出来るスマホを持って走る
- 棄権の可能性が高そうなら除菌シートも持って走る
多くのランナーさんがダイエットや『健康』の為に走る。
『健康』の為に走って、『不健康』になってしまっては本末転倒。
ここまで読んで頂いた“ぶっつけ本番ランナー”さんが無理してワタクシ天パのように故障しないように、この記事が役立てば幸いである。